店長の所有しているマウンテンバイク。ストーク”オーガニック”
地元の山道を走ったり、レースにも何度も出たり、良き相棒なのだ。
スイングアームまで、全部カーボンで出来ています。
この独特のデザインと存在感に魅了され、思い切って買ったのだ。
もう、かなり長い年月を共にしていますが、まだまだ飽きません。
大口径ホイールの29インチや27.5インチのMTBが、主流になった現在・・・。
自転車販売店として、いつでも、最先端の物を所有していた経緯のある私としては、
もはや、この26インチは「流行遅れ」の感は否めないが、
「だって、好きなんだもん❤」という理由(思い)が優先し、
その都度、修理やアップデートを繰り返し、今日も性能を維持しています。
好きで買ったが欠点もあった。(所有したからこそ気が付いたのだ…)
実はこのオーガニック、特殊なデザイン(構造)の為、”難題”もあり、
こればかりは、そういうもので「仕方がない」と当初は諦めていたのだ。
でも、
欠点だから、「ハイそうですかっ!」と、素直に受け入れる事が出来ない私です。
難題は、自分に与えられた課題であり、解決してこそ”一級のメカニック”なのだ。
そう!ダメなら、直せば良いのである。それだけなんです。(単純明快)
そんな事で、トライ&エラーを何度も何度も繰り返し、問題を克服!(^<^)
自分好みに、改造と改良を繰り返すことは、なんとも愉しいものなのだ。
この、Fディレーラーの位置。これが問題の箇所。
特徴とも言える、このエイリアン的なデザイン。
(ちょっと解説すると・・・)
このストークは、ダブルウィッシュボーン式サスペンションである。
腕が上下にあり、後フレームとタイヤが素直に路面の凸凹を捉え、走行が出来るのだ。
15年以上前の設計ですから、当時としてはかなり画期的で、素晴らしいアイデアだった。
しか~し、前ギヤの変速性能に、若干の問題があったのだ。
リア・サスペンションが働く度に、チェーンがFメカの中(羽の中)を上下する。
すると、変速機(Fディレーラー)に造形された変速ポイントに当らず、
チェーンを押し込む事が出来ない現象(不具合)が出て来るのです・・・。
もちろん、頭で考えるかぎりと言うか、
紙面上(机上)では、理論的には問題ないし、きちんと作動するはずなのだが、
実際に乗ってみると変速が、上手く切り替わらない・・・。(>_<)
これはまさに
「事件は会議室で起こっているんじゃない。
現場で起こってるんだっ!」by青島刑事
と叫びたい状況であった。(懐かしい~)
MTBの性能を向上させる方法が、”路面追随性能”であるという答えを出した、
開発者の”マーカス・ストーク”さん。ストロークが多い事を”正議論”としている。
それは決して間違いではないし、私もそう思っている。
この、不具合の原因は、設計が悪い訳ではなく、
たまたま店長の選択したパーツ(M96・XTR)との相性が悪いだけで、
結果的にはそれが”自転車”としての能力を、発揮出来なかっただけと思われる。
※(M96=MTBの初代デュアルコントロールレバーのコンポ―ネント)
そう、パーツとの相性が悪いだけで、どーってことないのだ。
(シマノ最高峰グレードのXTRが合わないって、ある意味凄いですね~)
「部品の企画に合わせて設計してたら、出遅れるぜ!」というメッセージが
聞こえてきそうだったぞ。う~ん…さすがストーク。異端児だ。(^_^;)
でも、M96・XTRを使いたいし、う~ん、どーする?
(操作テクニックを駆使すれば、どーにかなるのか)
開発段階で、オーガニックはシフター(変速機)を、位置決め機構を持たない
”サムシフター”や”グリップシフト”にする事を前提に、設計されたかもしれない。
これは動き量が無限に取れるので、オーバーストローク気味に操作出来るため、
上記のような不具合は起きない、というか気が付かない?のである。
しかし、どうしても”シマノのXTRデュアルコントロールレバー”を使いたかったし、
”ギヤ3枚”にこだわっていたかったのだ。
店長のセッティングは、1G’でサスの約半分以上を沈ませている。
伸び側重視のチューンナップである。http://www.takayamacycle.com/?p=467
すると、Fギヤの問題が、さらに大きく目立つようになる。その為、
ディレーラーの角度を少しだけ変えようと、↑こんな部品を自作してみたのだった。
失敗する事が続いたけど、(^_^;) これで、とりあえず目の前の困難は解決。
なんだか、自分の特別な物になった気がして、嬉しかったなあ~。
この時から、オーガニック号が、スーパーオーガニック号に変身した。
妥協する必要はないのである。
ジャーマン・マインドの誇り高さを持つ”マーカス・ストーク”さんが、
全力のエネルギーを注いで開発したオーガニック号である。
ましてや、他の誰かの手元に行っているのではなく、
この私(タカヤマサイクル店長)の所に来ている(嫁いでいる)以上、
”100%プラスα”でなくてはならないのです。(^<^)
※(αは情熱を表す単位。タカヤマサイクルのチューンナップの基本です。)
私の場合、プラスα(情熱)が、不具合を許さなかったという訳で、
その気持ちが、「この改造をさせた」という事です。
さて、ここからが本題。(前置き長~)
タイトルの「所有し、我が物とする事」。
自転車に限らず、何でもそうですが、
所有する事は、お金を出せば、買えるし、ラクな実現可能方法である。
そこから、真に自分の物にするにはどうすればいいのだろうか?
時がたてば、愛着が沸くという人は多いですね。それは、
乗りこむ事や、使い込む事で、”馴染み”を感じ、我が物となったとも言えます。
高価で高性能な物を買ったから、負けない自分になるのだ!と鍛える人もいます。
または、”吊るし”(既製品)は嫌だ。皆と同じはツマラナイ。
カスタム(改造など)して、個性を出し、我が物とするのだ!という方法もあります。
さらには、自身で全て分解し、仕組みや調整方法を知り、
手が油まみれになる事で、一体感を感じる事=我が物とする人もいるでしょう。
もちろん、他にもあると思います…。皆様はどうですか?
この答えに「これだ!」と決定付けるものは、おそらく無いでしょう・・・。
全て、考え方の問題で、正解などは、誰にも示せませんが、
あえて、挙げるのであれば、そこには「思い入れ」があるはずです。
(その物に、自身の思いや気持ちが入ってしまうことです。)
実に単純な”一文字であり一言”ですが、実に深く重いように感じます・・・。
所有した物に、グッと気持ちが入る買い物をしたいですね。
そして、我が物に出来たら、最高だ。(*^_^*)
どんなものだって、使われる為に生れて来る。(はず)
ユーザー様と共に、時を刻んで行く事がいいのです。
しかし、残念ながら、偽物も売られているし、質の悪い不良品も多い世の中です。
選ぶ事は難しいですが、自分の目を信じたいものですね・・・。
昨今、
どこで買ったとか、どこのブランドだとか、価格がどーこーとか、
さらには、インターネットに掲載されている“評価”を鵜呑みにして、
良い悪いを決めつけている事とか・・・。
なんだか、寂しいような気もします。
もちろん、購入(所有)してから「失敗した!」と言いたくないですよね。
後悔したくないから、いろいろ調べる事は、決して悪い事ではないですが、
ただ、それを”自分の知識”だと勘違いして、語っている人がいるのが気になります。
「所有し、我が物とする事」
考え方、意味は深く広いですが、
サラッと答えられる物達に、囲まれていたいものですね~。