当店の扱うブランドに、BOMA(ボーマ)がある。
繊維商社が前身である為、
材料である”カーボンシート”を自社内で生産し、
最高のクオリティを追及している、自転車フレームメーカーです。
当然ながら、ボーマ社は、”繊維の魔術師”な訳ですから、
企画開発をすべて自社で行い、車体に見合った繊維のシートを作り、
製品化してしまう、凄いメーカーなんですね。
このBOMA、
毎年、何かしら、飛び抜けた事を仕掛けて来るから、オモシロい。
もちろん、感性に合った素晴らしい時もあるし、そうで無い時もあるが(失礼)、
「今、必要なマシン」を作る姿勢は、いつでもワクワクさせてくれるのだ。
来季の新モデルとなる”シエル”の情報が入って来たのでお伝えしたい。
偶然にも、乗車する(試走する)機会があったので、
このインプレッションも、同時にお伝えしたいと思います。
① 超軽量なフレーム&フォーク
480mmサイズで、1135gという、「マジかよ?」という軽さだ。
完成車重量としては、6.63g(9000デュラエース)。ため息ものです。
②不思議な乗り味
第一印象は「パリッとしている」です。・・・簡単に言えば、堅いのです。
でも、硬いのではなく、「これでもか~!」という重い剛性でもなく、
踏んだ瞬間に、車体が前に進み出す、超クイックな出足を感じました。
軽量フレームにありがちな、フニャリ感は、微塵も無いのです。
(詳しくは③↓で・・・。)
③ 横剛性が高い!
店長の乗り方(スタイル)は、車体を横へグニャグニャと曲げる、走り方をする。
ヒルクライム時は、ペダルを斜めから踏み付け、
無理やり、フレームを捩じらせる走り方を好むが、
この”シエル”には、その曲がりを感じないのだ。
・・・というか、曲がってくれないから、「・・・・。?」であった。
この「・・・・。?」であるが、どんな変な踏み方をしても、
どんなヘンテコな回転を与えても、加速に繋がってしまうので、
正直、「分からない」が、この回答である。
④ BBハイトが低い。
ハンガー下がりは、70mm。BB部が地面に近づき、低重心化されている。
これは店長の好みであるが、時代も、それを要求しているのだと思う。
⑤ 突き上げ感が少ない。
これは、タイヤのサイズや種類の影響にもよるので、正確な事は言えないが、
軽量で、硬いフレームにありがちな「カンカン」としたものがない。
もちろん、「♪ガツン」とか、「♪ドカン」はある。
軽すぎる車体が、それを意識させてしまう要因かもしれないが、
「ガラスの板を叩くような、緊張感」は、このバイクには無い
当然、レーシングバイクですから、何でも吸収する訳でないし、
「凸凹の路面を舐めるように走る・・」なんて事も、無いっ!
そもそもこの”シエル”に、快適さを、期待していなかったが、
以外にも、好感を持てたのは、「私の贔屓目」であろうか。
BOMAの得意とする「繊維の組み合わせ、編み方など」から、
「振動をどこかへ逃がす仕組みになっているのかな?」
と、走行中、ずっと頭をひねらすバイクであった・・・。
総合評価:「かなり気になる~!」
上手く表現が出来ないが、「乾いた、硬いポッキー」のようなイメージだ。
カリッと歯を入れたいが、想像以上の力で噛む事になる。
そんな感じである。(これで解るのか?)(-_-;)
シエルには、「強度の違う繊維を、斜めに入れて~」という、
専用のカーボンシートを作成したらしい。
(これは、T社も採用しているので、技術提携しているという事かな?)
正直に言えば、
こんなロードレーサーに乗った事は無い・・・。
「凄い」という安易な言葉を使いたくないが、
漢字で表現するならば、この「凄い」言葉以外は無い。
DISCブレーキだとか、振動吸収に優れたロングライドバイクだとか、
今、流行りのキーポイントは、このフレームからは見つからない。
では、「軽さの追及を目指しただけか?」と言えば、全く違う。
硬さと、軽さ、そして人が乗って、道路を走る・・・。
このトータルバランスこそが、「なんだか気になる~」なのだと思う。
この”シエ”ルには、優しさなんてものは無い。
”シエル”は、未来を走る、「レーサー」である・・・。
久しぶりに、「カミソリの刃を素手で持つ雰囲気」を味わった。
フレームは、表面に化粧カーボンを張る事は無く、
UD剥き出しという所も、凄みを感じてしまう。
この、正直な姿勢を、ボーマ社には貫いてもらいたいと願う。
金額は、「28万円。」
他社に比べれば、決して高価すぎる訳ではないが、
「ボクもアタシも~」と、ポンポン買える人は少ないだろう。
けれど、
「今の自分を越えたい!」と強く願う人には、
お薦めしたい一台です。
発売は、まだ先になるらしいが、
今からアンテナを張り、情報を収集していただきたい一台です。
おそらく今後、あらゆる場所で、このフレームの話を聞く事になるでしょう。
プロレベルの各者の言葉に、ぜひ耳を傾けてはいかがだろうか・・・。
(今日は、注目の一台を 紹介いたしました。)