空想&妄想小説~妄想デート・スキー編(前編)~

ご注意

※ これから出てくる人物名や名称、出来事や空間的なことなど、
  100%架空のものですので予めご了承下さいませ。

 

♪ゲレンデのカフェテラスで~滑るあなたにクギ付け~♪
♪恋人がサンタクロース、ほんとうはサンタクロース~♪

今日は12月23日 クリスマスイブイブだ!
夏にキャンプした仲間と一緒に、
今回はスキー場のコテージを借り、
スキー&クリスマスパーティーと洒落込むのだ~!(イェイ)

AM9:00
先週納車されたばかりの「スズキ・ジムニー1300」に
荷物を積み込み、いざ出発!!
「クックック…この車見たら、彼女ビックリするだろうな…」

僕のジムニーは、「ジュラシックパーク」仕様なのだ!
えっ?どんなやつかって??
あの恐竜映画に出てきたジープのカラーリングをそのままに
ホワイトとオレンジに塗り分けられて、
ドアには恐竜の絵が描いてあるのだ!
えっ!?
恥ずかしいって???
う~~~ん・・・
まあ~そうとも言えるけれど、
解る人には分かるはずなのだ!

街を走ると、
みんなの顔が微笑んでいた…
うん、さすがにクリスマスシーズンだね。良い事だ!うん。
しかし、
みんなはどうもこの車を見て笑っているようだ…
おお~!みんなジュラシックパークを知ってるのか???
笑われようが、
みんなの目に留まるのは
うれしい事だ!
僕は自慢げに、ジムニーのハンドルを握っていた。
交差点で止まると、
後ろの車の人が声をかけてきた…

「屋根に猫がのってますよ・・」

なんと、愛猫の「ガンダム」がスキーにつかまったまま
震えてるじゃないか~~~。
慌てて家に引き返した僕でした…。

指先確認で異物?が乗ってない事を確認し、
急いで彼女の家に車を走らせました。

「ご、ごめん…遅くなっちゃった。」

『ジープ借りてきたの??おもちゃ屋さんのお知り合いいるの?』

「おもちゃ・・・?(まあ~いい。彼女に話しても解らないだろう・・・)」

荷物を車に押し込んで、
それでは出発!!!。

「ねえ~ジュラシックパークって言う映画知らないの?」

『聞いたことはあるけれど、それが何?』

「この車さあ~その映画に出てきたジープにそっくりに塗ったんだよ・・」

『ごめん、全然わかんないや…あなたの車のドアに
ゴジラちゃんの絵があったのは不思議だけれど…それと関係あるの?』

「ゴジ・・ちゃん・・って、こ・これは恐竜なの!その映画にもここに恐竜が描いてあったのっ!」

『ふ~ん…てっきりウルトラマンに出てきた車かと思ったんだもん。
きっと、マニアックなおもちゃ屋さんか、動物病院さんが、
営業車をそういう風にしたと思ったんだもん。
あなたの友達だったら、そういう人居そうじゃん!!』

「・・・・・。」
(的中しているだけに、何もいえない僕でした・・・。)

もう車の話はやめよう…そうなんだよ、彼女はそんなに車に興味はないのだった…。

クリスマスミュージック♪をBGMに
山道を進んだ僕達は3時間ほどで、
無事到着!

拓哉君や福山君や大森君達、
みんなは、もうすでに集まっていた。

「こんにちは~~」

挨拶もそこそこ、
早速お部屋の飾りつけ…
拓哉君と福山君はクリスマスツリーの準備。
大森君は組み立て式のバーカウンターを車から降ろしセッティング・・・

彼女達は壁に飾りをつけたり、
テーブルのセッティングしたり…
僕はホテルにハンバーガーの買出しと夕食の予約手配を…
テラスの隅の雪の中に、バドワイザーをばらまき
これで準備終了!!
遅いハンバーガーのランチをとり
ゲレンデにレッツゴー!!

拓哉君や静香さん、
福山君やその彼女、名前はアスカさん、
大森君もななこさんも、
みんな、スキーは上手なのだ!!
いや、上手なんてモンじゃない…
このゲレンデで
あの6名以上の達人はいるのだろうか??
と思うくらい、うまいのだ!!
みんな活き活きとスキーを滑らせる…。

うう~このシーンはどこかで見たことが…
デジャブーってやつか???
いや、違う…
あの有名な映画「私をスキーにつれてって」みたいだ~~~!

彼らがリフトから僕に手を振る…

初心者用ゲレンデにて
まずは止まる事を練習している僕は
スキー初体験。
イメージはあるのだが、
勝手は違うようだ…
ちなみに、講師は僕の彼女。
情けないったらありゃしない…

彼女のお兄さんはスキーのオリンピック養成選手だったのだ!
その兄きと一緒にず~っと練習していたぼくの彼女は
あの6名よりスキーが上手いはずなのだ!
こんな青空で深雪が多いスキー場に来て
僕のような超初心者を相手に
インストラクターしているってことが、
申し訳なく思うのだ…。

カニさん歩きで20メートルのぼり
へっぴり腰で滑る・・・
そんなことを1時間ほどやっただけで、
汗びっしょり…。(情けない)
でも、まだ講習は続いた…

「休憩しましょう!」

『ほっ…やっと……ふう~。』

売店で生絞りジュースを一つ買い、
突き刺したスキーにストックを横に渡したものをイスにして、
広いゲレンデを見ながらの休息タイム…

『気持ちいいね~!』
と彼女が背伸びをしながら言った…。
しかし、
きっと彼女は不満だろうな、
ほんとうだったら、あの一番高い所から
バビュ~ンって滑ってくるはずなんだろうに、
僕と一緒だから、出来ないで居るんだよな…

『私、スキー場でこうしてゆっくり座って、お飲み物をいただくなんてしたこと無いんだ…
なんだか、嬉しいな~~~!
今まで、いつも兄と一緒だったから、滑ること以外は考えられなかったなあ~
今日は誘ってくれてありがとう!』

さすがは僕の彼女だ!良い言葉を知っている。うん。
嬉しさのあまり、ちょっと感動!

『さあ~休憩終わり!次はリフトに乗るわよ!』

リフトに乗るっていったって、
乗り方を知らない僕にとって、かなりの難題である…

『大丈夫!勇気を持ってエイヤって…OK!?』

「おっ・・OK!」
そう、彼女に問われ、そう言ってしまった僕だが、
勢いだけで何とかなるのだろうか????

僕の前に保育園くらいの子供がリフトに乗った…
良く見て、真似をしようと思ったのだが、
一瞬の出来事に、どう乗ったのか…
見えなかった。

『私達の番よ!行くわよ!!っせ~のっ!』
ひざにイスが当たり、
「おお~~」と思っているうちに、
何とか乗れたみたいだ…

足にスキー板の重さを感じ、
ドンドン高くなるリフト…
何処につかまって良いのか解らず
彼女の腕をつかむ僕…(う~情け無い×2)

この斜面を降りれるのか??
まあ~何とかなるだろう…
僕には大先生がついているのだ!
落ち着け!良し。うん。
そう思った矢先、
もう降りる場所に着いた…

「スキーの先を上げてください」
と書かれた看板があるが
一体どういうことだ??

彼女の指示により
その意味を理解し
降りる瞬間が来た…
彼女がす~っと降りたのを見た僕は…

!#####~~~??!!###%$&#”!!

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

僕はず~っと下を向いたまま赤面していた…。

「あはっはっははは・・・」
という笑い声が聞こえていた。
もう火が出るくらい恥ずかしかった…

実はリフトから降りれなかったのだ…。

気がついたら、彼女だけが降りて…
そのまま、す~っ と彼女は滑って行って…
こっちを見たのを確認した瞬間
僕はクルンと下に向かって・・・

下のリフト乗り場では

「ハイ、足元に気をつけて、そのまま座っていてくださ~い」
と、メガホンを持った係りの人が僕一人に声をかけていた…。
大勢の人が見ている中、
僕は必死に支柱につかまり、
また180度反転し、
そのままリフトで登り始めた僕でした…。

笑い声がいつまでも聞こえるようでした…。

僕が上の降りる所につくと…
(というか、一般的にスキーヤーが降りる場所なんだけれど…)
彼女と、係りの方々3名が居た・・。
そのほかにもギャラリーが?集まっていた。

『タイミングを言いますから、
  上手く降りてくださ~い』
と、メガホンで大きな声で言っていた…
『1-2-3、今だっ!』
僕は、全神経を集中し、その瞬間にすべてをかけた…

何とかお尻がイスからはなれ、
雪面にスキー板がついたとき…

『おおお~~
 パチパチパチ・・・』

たかがリフトに乗り、降りるという行為なのに、

初心者用ゲレンデが、熱く燃えた一瞬だった…。

(超はずかしい~~~~)

彼女からこっぴどく、しかられ、
険悪な雰囲気の中
厳しいスキースクールがはじまった…。

「ああ~…」
『ああ~じゃない!』

「うわあ~…」
『うわあ~じゃない!こうでしょ!しっかり良く見て!』

そんな事を繰り返すこと数十回…
リフトに乗ること7回…
怒られること数百回…。

もう~ヘトヘト。

時計の針は
4:50
ナイター照明がついていた…。

ちょうどそこに福山君達がやってきて、
「サンセット、一本行くか?」
と彼女を誘いにやって来た。

『う~んどうしようかな??』

「どうぞどうぞ、行って来て下さい。」

しかし、サンセットとはお洒落な言い方だね、福山君は…。
「この夕暮れを滑ろう」と言えば良いのにさ、
まあ~どっちにしろ、
カッコイイ奴は、やっぱりカッコが付くもんだ!

彼女達が戻ってくる間、
僕は一人、疲れた足を休めるのであった…

(後編へと続く)

空想&妄想小説~妄想デート・海水浴編~

ご注意

※ これから出てくる人物名や名称、出来事や空間的なことなど、
  100%架空のものですので予めご了承下さいませ。

 

AM4:30
かなり早い時間だが、
彼女を迎えに車を走らせた…

今日は先週キャンプで知り合った
大森君となな子さんと
海に行く日なのだ!
さすがに夏の夜は空けるのが早い!
東の空がオレンジ色に輝き始めていた…。

いつものように彼女は家の前で待っていた…
時間に厳しい僕の性格を知ってか、
最近は早起きをしてくれるようになった。
今日の彼女はまたいつもより眩しい…
髪はポニーテールにまとめ
黄色いノースリーブに
ジーンズを足の付け根でカットしたショートパンツ…
超かわいいルックスだ!
荷物をトランクに押し込み、
僕らはおそろいのレイバンで目元を決め、
待ち合わせ場所
高速道路にあるサービスエリアを目指した。

5時に待ち合わせたはずなのだが、
大森君たちはまだ来ない…
15分ほど待つと
まっ黒いホンダ・アコードが僕達の車の横に
勢い良く、やって来た。
「おまたせ!」
Tシャツを肩まで持ち上げた大森君は
白い歯をピカっとさせて、
「それじゃ行きましょうか!!」と声高らかに…。
助手席のななこちゃんは
ニコっと微笑んで、これからはじまる海に
期待をしているようだった…。
大森君はきっと寝不足だろうな…
アバンティーは深夜2時までの営業だろうからなあ~。

僕らは上がってくる太陽に向かって車を走らせ、
夏の小さな旅がいま スタートした!

今日の僕の車は
ちょっと古い、水色のワゴンだ!
今にも壊れそうな…ちょっと頼りない所もあるけれど、
こういう夏の遊びには、どんな車よりもカッコイイ!
と、僕は思っているけれど、
彼女はどうなんだろう?

サンルーフから見える夏空に
チューブの曲♪が良く似合う。
彼女の顔色を伺うと・・・
うん!
いつもより笑顔の量が多いみたいだ!
振り向いた、トランクスペースには
大きなワニとクジラの浮き袋がこっちを見ている…
まるで、絵に描いたような光景に
僕は心が弾んだ!

大森君のスポーツアコードは
とっくに見えなくなっていた・・・
最高速度280キロという
「R」の赤い文字が付く国内最強のセダンに比べて、
♪ガランガラン と音をたてたぼくの古いワゴンでは
彼らの車に追いつくはずも無い…
次の休憩場所は解っているから
時間どおり行けば良いのだが、
ちょっとあせってしまうのだ・・・。

伊豆の熱海から目的地の海岸へ向かう…
さすがに伊豆だ!大きなパイナップルのような木が道沿いにいっぱい生えている…
隣の彼女はキラキラ光る海を見て、
「ステキ~」と何度も口にしていた。
しかし、
さすがに暑い…
エアコンが効かないこの車では
運転もキツイ…
助手席の彼女のシャツは汗ではり付き、
かなり暑いだろうに…
そんなことを彼女に尋ねると
ニコッと微笑み、
「冷たい海に飛び込もうね!」って言ってくれている…
凄く、嬉しかった…。
こうなったら、この暑さを楽しむしかない!
カセットのボリュームを大きくして、
僕はアクセルを踏んだ!

9:00ジャスト!
目的地の海水浴場に着いた!

僕らは「アルカディア」という、
ちょっとお洒落な海の家で
1テーブルスペースをチャーターし
ウッドベンチで冷たいビールを飲んだ…
ああああ~~~~うまい!!!
彼女も凄く嬉しそうにビールを飲み、
4人で談笑した…

「ああ~海が呼んでいる…」
僕達は水着に着替え、夏の海に飛び込んだ。

「ねえ~かわいい?この水着…」
と彼女が僕に尋ねる…
彼女はマリンブルーの大胆なビキニ姿で僕の目の前に登場し
目のやり場に困るほどすらりと伸びた長い足に
上半身もナイスバディーでステキだ!
僕は言葉が出てこなかった…
血液がドクンドクンと流れるのが解った…
「なに、顔を染めてるの??真っ赤だよ~!」
『バカ!これはさっきのビールだ! いっ、行くぞっ!』

僕はそう言って、彼女の手を繋ぎ
海に向かって飛び込んだ…

さっきの暑さを忘れるかのように
大きな夏の海水に、体を任せた僕達だった…

やはり海は大きい…
心を開放させる!
今日は来て良かった…
遠くで船が通過すると
遅れて波がやってくる。
彼女は、キャーキャーとはしゃぎ
僕はそれを見て、目を細くした。

大森君たちが浮き輪に乗って近づいて来た。
2人でお尻だけ突っ込んだスタイルで
別々の浮き輪に乗ってポッチャンポッチャン・・
「いやあ~海はいいっすねえ~!」

砂浜でオイルを塗って体を焼いた…
でも彼女は日焼け防止オイルを塗っていた。
まあ、当然といえば当然だ!
僕は彼女の背中に
やさしくオイルを塗ってあげた…
彼女のビキニの紐を少しずらし、
隅々まで丁寧に、
時々手が滑って・・・
彼女に「こらっ!」。
えへへへ・・

そこへ大森君がバドワイザーを買ってきた。
暑い太陽の下で飲むビールはやはりうまい!
ゴクゴクっと体にこぼすように一気に流し込んだ。
「カアア~~。」

ななこさんも、前回のキャンプの時と違い
随分開放的で楽しそうだ!
4人で砂を足にかけあい
半分砂浜に埋まった…

その時、
「あっ…!」
僕は砂浜に落ちた数滴の赤い水を見た…

鼻血が出てきたのだ。
僕は太陽にやられてしまったのだ。
いわゆる、「のぼせ」ってやつだ…。
しかし原因の半分以上は
違うことなんだ…
彼女のかわいいビキニがその原因なんだけれど、
言えなかった…。

時計の針は12時をまわっていたので、
アルカディアに戻り、
ランチにすることにした。
朝、予約しておいたシーフードバーベキューコースだ!
炭火で焼く貝や魚はとても美味しい!!
汗をだらだらかきながら
僕と大森君は必死に焼いた。
コーラやビールを片手に
軍手をはめて、
「アチっ!アチっ!」
焼きそばのソースや
油がはねて、体にとび
「アチっ!アチッ!」…
そんな光景をゲラゲラ笑いながら僕ら4人は
楽しいランチタイムを過ごした。
ふと周りを見渡すと
みんながこっちを見ているではないか…
まあ、これだけ大騒ぎすれば
当然であろうけれど、
周りのカップルやグループの人たちの目は
僕らを羨ましそうに見ていた…。

そうさ!今日のこのビーチでの主人公は、僕ら4人なのだ!

僕と大森さんは顔が真っ赤だった…
バーベキューにこれほど体力を使うとは思わなかったし、
焼けた炭や鉄板、さらに何杯も飲んだビールも原因か???

海に入るのは、ちょっと休憩し、
反対側のビーチにある、
洞窟探検に出かけた…。
干潮になると現れるという洞窟だ…!
実は
僕らはこの情報を
この、アルカディアのオーナーから聞いたのだ!
『その一番奥にある銀色のドクロに
2人で触れることが出来れば、永遠に幸せになれる…』 と。

僕と大森君は時間をずらし、別々に行く事にした。

割り箸で作ったくじ引きで、
まずは、僕達から行く事になった…

波が来ると
バシャっと水がかかる薄暗い洞窟に
僕は彼女と手を繋ぎ穴だらけの岩肌をゆっくり歩いて行った…
波が来る度、足元をすくわれそうになり、
転ばないように慎重に歩いた…
洞窟の中にはコウモリが居たり
ガサガサ虫がいたり、
大きなカニが歩いていたり…
溜まった海水の中には
干潮で取り残された魚が横たわっていたり、
昼間とはいえ、なんとも不思議な世界だったのだ…

彼女は僕の体にぴたっと寄り添い
少し震えていた…
「おお!ビキニ姿の彼女が僕に…でへへへ」 と思うはずなのだが
この洞窟は、
確かに、気味が悪いのだ…。

かなり時間が経過したはずだが
実際には10分くらいだろうか…。
石の階段が見えてきた。
見上げてみると、
銀色に輝くドクロが在った…
「これだ!」

僕らは滑らないようにゆっくり階段を登り
銀の骸骨に近づいた。

アルカディアのオーナーが言ったように、
僕らは2人でそのドクロに触れた…

その時!

骸骨がゴロンと転がり、
「ああ~!」っと思った瞬間、
海水に落ちてしまったのだ…

「どうしよう・・」
冷静に考えよう…

ニュートンの法則、つまり
万有引力にしたがって骸骨は落ちたんだ…

いや、
そういう話じゃない。
形あるものは、いつか壊れる…

いや、
そういう話でもない。

彼女が泣き出した…
「え~ん不吉な事が起こるんだ~来なきゃ良かった~」

そんな事を聞いたら
この僕だって、怖くなっちゃうじゃん…
逃げるか・・・?

…いや、逃げても何も変わらない…
…誰かがここにドクロを置いたんだ…
…置いたということは…
…それは人間の仕業だ…!
…つまり…、
…また置いてやればいいんだよな…。
…そうだ…、
…それに銀色なんて…
…誰かが塗ったに違いない…
…そうだ、そうなんだ…、
…また置いてやればいいんだ…

僕は自分にそう言い聞かせ、
落ちたドクロを捜すことにした。

干潮のおかげで
海の底は良く見えた…
偶然にも
洞窟の穴から日が入り込み
銀色のドクロはすぐに発見できた。
しかし、
足場が悪くなかなか海に入れない…

彼女はそこに座り込んだままだ。
いや、それのほうが都合がいい…下手に動くと転んで怪我をしてしまう…。

僕は早くこの状況から彼女を救ってあげようと
無理して海に入ろうとした瞬間
岩場から足を滑らし
「ドボ~ン」と海に落ちた…

「キャー!大丈夫??」彼女が叫んだ!

『だ、大丈夫!痛たたた…」
落ちた時、足のすねを岩にぶつけてしまい
少し切れたようだが、
それどころじゃない!!
痛みをこらえて
僕はすばやくドクロを拾い上げ、
彼女に向かって投げた…

数分後
なんとか、そこから這い上がり、
彼女と2人で階段の上に
骸骨を戻した…
そして、簡単にドクロが転ばないように
砂と貝殻で固定した…。

そこで、もう一度
改めて、2人でそのドクロを触ることにした…
2人の思い、願いは一つ…

「永遠の幸せをつかむために…」

とりあえず目の前の困難を回避した僕らは
ホッと一息。
その瞬間、足の傷が痛み出した…。
10センチくらい引っかいた傷に
海水が傷に滲み、
さらに乾いてきたからピリピリピリ…
でも、僕は男の子、我慢するのだ!!!

僕らはその場を後にした…。

来た道を戻り
大森君たちと交代…

「滑りやすいから気をつけてね!」

僕はその一言だけを彼に告げ
今あった出来事は
いっさい口にしなかった…。

僕達2人にとっては
とても長い時間を
洞窟内で一緒に居たはずなのだが、
わずか、
27分の出来事だったらしい…。
それにしても
いろいろあった洞窟探検だった…。

ドクロを落としてしまった事を気にして
僕らはアルカディアのオーナーに相談しようと
先程の出来事を伝えた…

すると、オーナーは

「あれは俺が置いたドクロだ!
ドクロに願う勇気があれば、必ず幸せになれると
俺は思うね!
それにしても、骸骨を海に落としたり
怪我をしたりと、
ドラマチックな冒険だったな~
いままでに、そこまでいろいろ思い、考え行動した奴らは
お前さん達くらいなもんだろうな…」

そう言って
僕らにマリンブルーのトロピカルドリンクをご馳走してくれた…。
イスにもたれ掛かり
とても疲れた僕らは
無言のまま大森君たちの帰りを待った…

すると
むこうから、
大森君とななこさん2人は超ご機嫌で
手を繋ぎイチャイチャしながら帰ってきました。

「いやあ~ドクロありましたね~。ちょっと、気味悪かったですよお~」
『大森君ドンドン行っちゃって、ついて行くのが大変でした~でも、一緒に触っちゃいました!ねっ!』

それを聞いて僕と彼女は、なぜか大笑い。
さっきの事は、僕らとオーナーだけの3人の秘密にしておこう…

夕方になると
賑わっていたビーチも
さすがに人が少なくなってきた。

僕は彼女と手を繋ぎ
波打ち際を歩いた…

先程の出来事があったせいか、
今までの僕らより仲良くなれたような気がした…
日常の笑い話や失敗談、
夢や希望や、いろんな事を話した。

突然彼女が僕の前に立ちはだかり
まじめな顔をして
「今日のあなたはカッコ良かったわよ!」

僕はその言葉を聞いて
テレ笑いの隠し場所を探したが
どうにもカッコが付かず、
僕は無言のまま
彼女をそっと抱きしめた…。

夕暮れのサンセットビーチはお互いの気持ちを高ぶらせ
2人でいるという幸せを感じる最高の瞬間だった。

「これもドクロのおかげかな??」

空には星が見え始めていた…

アルカディアの遅いチェックアウトをすませ、
僕らは帰路についた…

途中の湖畔のレストランで遅い夕食をとり
そこからは別々に帰ることになった…
大森君たちも、かなり疲れたようで
自分達のペースで運転していきたいということだった。

もちろん僕の彼女も疲れたはずだ。
先程からず~っと目を閉じたままだ…

僕は車を停め
自販機で買った「リボビタンA」を飲み、
タウリンを100個 体に注入し
最後の力を振り絞り、運転に集中した。

ガランガランと鳴るエンジン音が
教会の鐘の音に感じたのは
僕と彼女だけだろうな…

隣に眠る彼女を横に
僕は星空の下を
走り続けた…

永遠の幸せのために・・。

終わり

(スキー編へと続く・・。)

空想&妄想小説~妄想デート・キャンプ編~

ご注意

※ これから出てくる人物名や名称、出来事や空間的なことなど、
  100%架空のものですので予めご了承下さいませ。

 

♪りりり~ん(電話の音) 「ガチャ」

「今週末…土曜日と日曜日の二日間なんだけれど空いてる?」
『う~ん…土曜日はお友達と買い物の約束をしてるから、
5時以降なら良いけれど…』
「・・・OK!5時ネ。」
『ちょっと待って!何?いったい何処行くの??』
「仲間でキャンプに行くんだよ!一緒に行こうと思ってさ!」
『キャンプって…泊まりってことでしょ、どうしようかな…』
「隣町のコテージを借りれたんだよ。綺麗だし、近くて良いでしょ!
お風呂もきちんと在るよ!雨が降っても、楽しめるしさあ~!」
『メンバーは誰?私の知ってる人???』
「え~っとねえ…知ってるかもね~みんな一応カップルだよ。
ミサトさんも入れれば合計8名。
以前、養老の滝で一緒に飲んだ人でさ、
ACE会社のボンボンで木村拓哉さんって居たじゃん!その人とその彼女。
工藤静香さんって言ったかな?
それと、
白木屋で遭った人でさ、
ブティックに勤めている福山雅治さんとその彼女の・・・う~ん名前は覚えてないや。
それから、バーテンダーやってる、大森さんって言う人、
いつもオイラが師匠って呼んでる人でさ、
イタリアンカフェのアバンティーの・・・
そうそう!その人!。
もう一人女性が来るらしいけれど、知らないんだよ。
静香さんがお友達を連れてくるらしいんだ。
これで僕達を入れれば8名だよ~」

『私が行っても良いのかな???』

「いいの・いいの!ねえ~~ねっ!行こうよ!」

・・・という事で、
土曜日の夕方からミサトさんは合流するという事で、
キャンプは決定した・・・・。

(当日夕方5:30ミサトさんから電話が入る。)

「いまここだけど、何処に行けば良いの??」
と、連絡があったので、僕はその場まで迎えに行った。
ちょうど、食事の準備をしていたところだったので、
グッドタイミングで合流する事が出来た。
「紹介しま~す。僕の彼女の<彩波 ミサト>さんです。」
『よろしくお願いしま~す』

人見知りで緊張しやすいミサトさんでしたが、
仲間の人達と以前会ったこともあり、時間が経つと意気投合し、
楽しそうに時間を過ごしていました。
おっちょこちょいの彼女はバーベキューの串を手に刺すというハプニングも在ったが、
無事にずべての準備が整い、乾杯に!
今回はバンガローのテラスで、バーベキューをして、
部屋に持ち込みワイングラス片手に食事をするというお洒落なキャンプ。
生ビールサーバーまで持ち込んで、
わいわいガヤガヤ…。

初めて今回来たという静香さんの友達は
<松島ななこ>という名前で、
小柄なかわいい感じの人だ。
22歳で僕らとほぼ同じ年齢で、
話は会うはずなのだが、
ちょっともの静かな人で、
イマイチ仲間に入れないというか
居場所が無い…ように思えた。
そこで、そんな雰囲気を察した僕とミサトさんは
うまく彼女をリードし、
その場を楽しくする事に成功!
さすがは、僕の彼女だ。
たとえ、おっちょこちょいでも
たとえ、車の運転が下手でも、
人との付き合いは上手なのだ!
そういうミサトさんがぼくは大好きなのだ!
反面、付き合いが上手すぎて、
いろんな男と飲みに行ったり、遊びに行ったりするのは、
大きく問題だが、
これはまた機会を見つけて、
彼女には はっきりと言うつもりだあ!

夏の暑さもあってか、
ビールも進む進む。
大森師匠がギターで歌うと、
また盛り上がって、みんなでハミング…
アルコールのせいもあってか
松島ななこさんも、おしゃべりになってきた。
大森さんも彼女のリクエスト曲に答えてあげて、
2人は急激に仲良くなってしまったようだ。

外に出て、みんなで花火をしようという事になり、
ロマンチックナイトに華を添える…。
飲みすぎて、人が変わった木村拓哉さんは
花火を持ったまま大声をあげて、そこらじゅうを走り回り、
相変わらずの渋い福山君は、陰に隠れるように彼女とコソコソいちゃいちゃ…。
大森師匠と松島ななこさんは仲良く一つの花火をしていた。
僕らはというと、
誰もが羨むように仲良く…なはずだったが、
飲みすぎた工藤静香さんが
「ミサトちゃん聞いてよ~」と
2人で切り株に座り、
ビールジョッキを持ったまま、
話し込んでいた…。
高山は焚き火に薪を入れながら
一人自分の世界に入り込んでいたのだった。
彼女は、ひょっとして、
ナルシストである高山を察して、というか、
焚き火に夢中になりすぎている僕ではつまらなかったので
静香さんと話をしていたのかもしれないが、
そこは、まあ、どうでもいいことにしょう…
僕はこういう、焚き火が大好きだから、
一人にしておいてくれるほうが嬉しいのだ。

花火が終わったので、
みんなでお風呂に行く事にした。
100メートルほど行くと、
大きな温泉施設があり、深夜まで入れるのだ!
今回は予約しておいたプライベートバスルームにみんなで入ることになっていたのだ。
露天のジャグジーっぽい感じのやつだ!
とりあえず恥ずかしいので
電気は消して、月明かりだけで入った。
バスタオル一枚の世界に照れながら、
みんな赤い顔をして。←(アルコールのせいかもね…)
ボディーラインがくっきりとして、もうドキドキ…
たぶんみんながそう思ったと思う。

アルコールと、温泉と、そういう意味でもドキドキで
心臓に良くないということで、お風呂から出る事になった。

コテージに戻り
予定していた二次会が始まった・・。
対面式キッチンカウンターの中では
アバンティのバーテンの師匠がカクテルを作り、
先程女性達が作ったカナッペをつまみに、飲もうという訳だ!
BGMに用意したカセットデッキからは
小粋なジャズが流れ、
ダウンライトにした部屋は
トワイライトなカフェバーさながらだ!
さすがはプロのバーテンダーが作るカクテルは、
美しい…
キャンプという設定上、
持ち込むお酒に限りがあるが
わずかな種類で、バラエティー豊かな
カクテルが出来上がるのはさすがだ!

その
カクテルシェーカーを振る師匠の前には
松島ななこさんが居て、
楽しそうにお話をしていた。
<テキーラサンライズ・ななこスペシャル>には赤面したが
不器用な師匠らしいアプローチの仕方だ!

中央のソファーには拓哉と静香がグラスを傾けていた。

「飲みすぎた…」という理由で
2階の個室ベッドルームに早々消えていった福山君達…

僕とミサトさんは師匠の作ったカクテルを片手に
テラスに出て星空を眺めながら、2人のおしゃべりを楽しんだ。
僕の右手と彼女の左手はグラスを持ち、
空いた片手はテラスの桟で重ねあった…
僕の持つグラスは、ブルームーン。
ブルーキュラソーの鮮やかな青色が、
夏の夜を高ぶらせる…
無言もまた、お互いの気持ちを思う演出なのか・・・

僕は、ミサトさんの前では飾れないのだ。
カッコもつけられない…
自然とか言うんじゃなくて、
何も出来なくなってしまうのだ…
気の効いた台詞や仕草も、
口説き文句も、彼女には出てこないんだ。
あの子やこの子やその子には、
ポンポンと出てくるような笑い話付きの三流の口説きセリフは
彼女を前には出てこない。
愛とか恋とか、好きになるとか、
言い方はいろいろあるけれど、
離れたくない…誰にも渡したくない…という気持ちが先行してしまい、
他の人のような楽しい時間を
彼女には、過ごさせてあげられないのだ…。

そう、心の中で思っていただけのはずだったが、
気がついたら、声に出していた・・・。
アルコールのせいか、雰囲気のせいか、
心の叫びだったのか、
明らかに彼女に聞こえる言葉で、そんな事を・・・。

それに対し、ミサトさんはしばらく黙ったままだったが、
何を思ったのか、彼女はニコニコして、
沢山の話をしてくれた…
こんなに話をしたことが無いというくらい、
濃い内容であったのだけれど、
ホンネで言って
笑顔で口が動き、お話をしていた彼女を見るのが
切なくなってしまった…

それは、
僕は彼女に「愛」というより
安らぎに近い物を感じている。
それが愛なのか、恋なのか、何なのかはわからないが
浮かれた話っていうよりも、
傷ついた夢を聞いて欲しいっていうのか、
他の人には言えないような内容…
特別な話をしたいというのか、
彼女には悪いけれど、
そんな欲深い考えをしているのだ。
もっと言うならば
小さなことからこんな事までっていうくらい
<彩波 ミサト>でなくてはいけないのだ!
そのくらい彼女のことが大切なのだが、
僕みたいな考え方のボーイフレンドを持つと
周りのカップルのような楽しみを味わう事が出来ないだろう…
などと、ウジウジ考えてしまうのであった。

はっ!っと気付くと、
彼女の顔が目の前にあった…
お互いの体温と存在が重ねあった手からではなく、
別の部分から感じる事が出来て、
なぜか、安心するのだった・・・。

そこへ、「お邪魔しま~す・・・」
師匠とななこさんがテラスに出てきた。
「一緒に、線香花火しませんか?」
それを聞いた僕達は
なぜか大笑い。
今までの重い雰囲気も、一瞬に過ぎ去った…。

テーブルにろうそくを立て、
4人で過ぎて行く夏を惜しむかのように、
飛び散る小さな光に目を細めた…
突然、
「来週なんですが、4人で一緒に海に行きませんか?」
ななこさんが言い出した。
いろいろ考えたが、とりあえず行こう!という事で
決定したのであった…。

時計を見たらもうAM2時だったので、
ベッドに入ることにした。
福山君達は2階の左の部屋だし、
右は拓哉さん達だし、
1階のベッドで師匠達が寝る事になった。
もちろん僕達も1階のベッドだったが、
個室じゃないから・・・
でも手を繋いだまま眠りに付いた僕と彼女でした…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

翌朝、スクランブルエッグを焼く匂いがして、
目が覚めた。
大森師匠と、ななこさんが仲良く朝食の準備をしていた。
朝日こぼれるログハウスに、
さわやかな空気がながれ、
二日酔いの体に沁みていくようだった…。
「ミサトさん、おはよう!」
耳元でささやくように起こしてあげた。
恥ずかしそうに起き上がる彼女を見て、
なんて可愛いんだろうと、胸キュンになってしまう僕であった・・・。

朝食を済ませ、
後片付けをして、グループ・キャンプデートは終了。
なぜか、卓也と静香はケンカっぽくなっていた。
昨日何が在ったんだろう???
福山君達はもう恥ずかしいくらい、ベタベタして帰って行った。
う~ん…なにがあったんだろう???

大森君と来週の海の予定を立てるために
僕らはその場に残った…。
そして、
海のデートに続くのであった…。

終わり

(海のデート編に続く・・)

空想&妄想小説~恋愛編 (後編)~

ご注意

※ これから出てくる人物名や名称、出来事や空間的なことなど、
  100%架空のものですので予めご了承下さいませ。

 

後編

都会を埋め尽くす高層ビル群…
その一つに、我社のABCカンパニーがある。
12時をまわったランチタイムに
B-1にあるカフェの利用するのが俺の日課だ…
いつものようにアメリカン珈琲とスパイシークラブサンドを注文すると、
また、いつものように同じウエイトレスの娘が運んでくる…
「退屈な毎日だ…」

珈琲の湯気を眺めていたら、
先日の夜の事を思い出した。

「高杉 ミサキ」 か…

ちぇっ・・俺は何を言ってるんだ??
行きずりの女を思い出すとは
情けない…

ポケットに手を入れると、
くしゃくしゃに丸められた紙くずがあった・・。

実は、あの朝路上に投げ捨てたあの娘の書いたメモ…
気がついたら、拾っていたのだ。
「ゴミを投げ捨てるなんて、いけない事だよな!」なんて
自身に理由をつけて…
結局また、その女性の事を考え、
また独り言をボソボソ言いながら物思いにふけり
時間が過ぎていった…

いつしか珈琲カップが空になっていた。

「珈琲のおかわりをお持ち致しましょうか?」
ウエイトレスが言ってきた…
時計の針はまだまだランチのオンタイム、
そこで俺は、もう一杯のアメリカンをオーダーした…
すると彼女はニコっと微笑み、
青いマグカップに入れたカフェオーレを持ってきたのだった…。

『え?アメリカンのはずだが?』

「たまには、変わった物もいかがかと思いまして…
このカフェオーレ私のお気に入りなんです!
それではお砂糖を、こうして二杯入れて・・・
どうぞ、召し上がれ! クスッ。  」

彼女の言ったその言葉に圧倒され
言われるとおりに、珈琲とは言えぬその飲み物を
口に運んだのだ…。

いつものウエイトレスが
今日はとても新鮮に…
いや、とても違う存在に感じた。
胸の奥がチクリと痛いような…
他人とは思いたくないような…
不思議な気持ちだ。

大きな眼鏡に茶色の膨らんだ制服。
身長は…「高杉 ミサキ」と同じくらいか…
『!#??????…』
また、彼女を思い出してしまった
まったく、情けない…。

俺は席を立った…

それから毎日
俺はランチタイムが待ち遠しかった…。

死ぬほどまずいカフェオーレを飲むためと
もう一つの目的のために…。

俺の目は自然とあのウエイトレスに目が行っていた…
また彼女の目もこっちを…
いや、
俺の思い込みだ…。
彼女はみんなに優しく、笑顔で振舞っていた・・・。

レジで金を払い 「ごちそうさま」と彼女に告げると、
「また、来てくださいね!」と嬉しそうに…いや、
これも
俺の思い込みだな・・。

デスクに戻り、仕事を始めた…
午後は大事な会議があるのだ。
メモ帳をポケットから取り出し、
同僚と確認を始めた時、
パラっと白い紙切れがメモの間からすり抜けた。
んん??何かのレシートが挟まっていたようだが、特に気にもせず、
俺は、今日の会議の重要ページに
枝折り代わりにはさんでおいた…。

会議が始まった。
先方のお偉いさん方を
納得させ、いい契約を採らなければならない!
プレゼンテーションはどんどん進み
熱い俺達のハートが理解され、
契約に結びつた!
後は、
上司どうしの正式書類の取り交わしのみだ!

肩の荷が下りた俺はふとメモに目を通した…
そして、枝折り代わりのレシートを引き抜き、
メモを閉じた・・・えっ?!

えっ?!
レシートの下に何か書いてある…

これは数日前のものだ。
いったい、どういうことだ????
俺は、冷静さを無くし、慌てて席を立った…
大切な会議の途中の、許されるはずの無い行為であったが、
そんな事より、大切な物が見つかったのだ…
俺は廊下と階段を全力で走り、
目的の場所を目指した…。

レシートの下には
小さく、赤いペンで書いてあった・・・

『Mako・・まだ気付かないの?』

それから僕らの付き合いは始まった…

終わり

空想&妄想小説~恋愛編 (前編)~

ご注意

※ これから出てくる人物名や名称、出来事や空間的なことなど、
  100%架空のものですので予めご了承下さいませ。

 

登場人物:MASAHIKO (有名デパート勤務/金持ちボンボン)
MAKO・・  (ABCカンパニー勤務・役職は係長)

 

前編

♪あの日あの時あの場所で君に会わなかったら~♪
by 東京ラブストーリー:小田和正

TVで大流行の東京ラブストーリー…
人気俳優が主演の人気ドラマだ!
そんな作り話のテレビをだらだらと見ていたオレであったが
もしも、こういう彼女が居たら…
なんてことを思う一人暮らしの寒い夜。
時計の針が10時をまわった時、
電話が鳴った…。

「おい!これから飲みに行こうぜ!」

友人と言えるほどではないが
最近知り合ったMASAHIKOという男だった。
DCブランドでバシッと決めている、にやけた野郎だ!
俺は出かけるのが面倒臭かったが、
断る理由も無いので、行く事にした。

待ち合わせはいつのも
イタリアン・カフェバー、アバンティー…
古いジャズの店だ。
俺はいつものカウンターの隅に座り、
バーテンのジェイクにいつもの酒を頼んだ。

「タカヤマサンイラッシャイ、バーボンノロック、オマタセイタシマシタ」
俺は三口でそれを飲みほし、
ジュークボックスにコインを入れた…

『お待たせ~!Mako・・』
MASAHIKOがやって来た…
いつものようにあいつは全身をブランド物で決め、
両腕に女を飾っていた…。
『Mako…どっちの女がいい?』

ワンレングス&ボディコンシャスルックの今時レディー…
どうせ、ディスコで引っ掛けたんだろうが、
それにしても、軟派な奴だ…
石原真理子気取りの小娘たちに
牙をむくとは…
と言いながらも
やっぱり、若い女の子は可愛い…
体のラインがきれいに出たその服やその容姿は
MASAHIKOじゃなくても
誘いたくなるだろう・・・

いつものリザーブ席に行き、
飲み明かそうという事になった…
結局、俺も軟派な奴だな。

どのくらい時間がたったんだろう…
アーリータイムズのボトルが終わりかけた時、
MASAHIKOとオレンジの服を着たショートカットの女が
「それじゃ、俺達はこれで!まったねえ~!」
と、一万円札を2枚置いて店を出て行った…

仕方がないので
俺達もこの店を出ることにした。
しかし、
行く所も無いし、どうしようかと考えていたところ、
「あの~私のマンションに行きませんか…」
と彼女が言い出した。
お酒が入っていたせいもあってか、
俺はそのまま、彼女に連れられて、
マンションに行く事にした。

聞けば
すぐ近くの高層ビルにあるマンションらしく、
また、そこのビルは
俺の部屋からすぐそこだ…

部屋に入ると
おおきな熱帯魚の水槽があり、
また、ホテルのような一室から見る都会の夜景は
お互いの気持ちを高ぶらせた…
スレンダーな彼女の体を抱きしめると
とても良い香りがした…
力を入れれば折れてしまいそうなくらいのその体に・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

朝になり、横で眠る彼女を置いて
俺はその部屋を出た…
お互い名前も聞かず、
連絡先も確かめず…

唯一、MASAHIKOが俺を呼ぶ時言った
「Mako」という名前だけを残して…

俺は自分の部屋に戻るとき、
上着の胸ポケットの中に、
紙切れがあることに気付いた…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

また、会って下さいね。
私の名前は

高杉 ミサキ です

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

俺は、その紙切れ…を丸めて、道路に投げ捨てた・・・。